王に愛された女 番外編
コンコン
部屋のドアをノックする音で、ルークは物思いから覚めた。
「なんだ」
「フリーゼルですが、入ってよろしいですか」
フリーゼル伯爵。
彼は、昔はルークのライバルだったが今では信頼できる重臣の一人だ。
「あぁ、かまわない」
ルークの返事に、ドアが開く。
白髪もほとんど抜け、頭の禿げた老人が部屋へ入ってきた。
顎に蓄えられた白い髭がよく目立つ。
「どうした」
「カイル王子とイアル王子が恋のライバルになったとロッドから聞いたもので」
あの内関は口が軽すぎる。
ルークは額を押さえた。
「お二人は、オラシオン前国王の愛娘クリスティーヌを狙っているようですな…」
「あぁ、そうだ。だが俺は、何としてもイアルとクリスティーヌを結ばせる」
ルークは答えた。
「それはまた、何故(ナニユエ)ですか?」