王に愛された女 番外編




 フリーゼル伯爵は、興味津々のようだ。

「決まっているだろう。ミィナ嬢を王妃に迎えるからだ」

「あぁ、フィオーレの娘ですか」

「そうだ。だからイアルとクリスティーヌを結ばせる」

 ルークの言葉に

「巧く行きますかねぇ」

 伯爵は呟いて掠れた声で笑った。

「どういう意味だ」

「クリスティーヌもカイル王子も、互いに愛し合っているようでして…」

「貴様は、何が言いたいんだ?」

 ルークは立ち上がり、ドアの傍にいる伯爵に詰め寄った。

「王様はハナミズキの花言葉を知っておいでですか?」

「もちろんだ。“私の想いを受け止めて”だろう」

 ルークが答えると、伯爵は頷いた。

「そうです。それは、どういう意味だか知っておいででしょうか?」

「は?」

「儂は、たとえ禁断でも結ばれるべき者たちが結ばれるべきだと信じております。前国王と前王妃のように…」

 彼はそれだけ言って、部屋を出て行く。

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