王に愛された女 番外編




 クリスティーヌは辺りを見回した。

 既に大晦日の宴(パーティ)は始まっていて、王宮で役職についている者たちが面をかぶって踊っている。

「どうだ、おもしろいだろ」

 テアンが言った。

 クリスティーヌは無言で頷いた。

 鬼の面をかぶった白いコートの男がクリスティーヌに近寄ってきた。

「きゃっ」

 クリスティーヌはテアンにしがみついた。

 一つ目の面をかぶった役人が太鼓を脇に抱えもち、チャンチャンと鳴らしながら踊っている。

 キツネの面と尻尾を付けた女の役人が笛を吹きながらテアンを連れていく。

「テアン!!」

 クリスティーヌが叫ぶと、

「大丈夫だから」

 テアンがそう言った。

 急に一人ぼっちになってしまったのが、クリスティーヌは怖かった。

 さっきよりも、宴の音が大きく聞こえる。

 太鼓の音、笛の音、どこからか聞こえる琴や弦楽器の音―――。

 宴に参加している全ての者たちの歓声――。

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