王に愛された女 番外編




 クリスティーヌのか細い声、そのはにかんだ顔。

 全てが愛おしい。

「…なんでそんなこと、おっしゃるのですか…?」

 この鈍感さまで愛おしさを感じた。

「決まってるだろ」

 カイルはクリスティーヌの耳元に顔を寄せる。

「オマエのことが、好きだからだよ」

「え…?」

「好きだ。大好きだよ、愛してる」

 今までの人生で言ったことがないセリフだっただけに、気持ちがドッと溢れ出し、言葉が止まらなくなった。

「この世界の誰よりも、愛してる」

 クリスティーヌの顔が、白い部分を埋め尽くすかのように赤くなる。

「可愛いよ…クリスティーヌ」

 カイルは、彼女の頬にキスをした。

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