王に愛された女 番外編
「父上が、襲われた!?」
カイルは信じられない思いで声を上げた。
「はい」
アリシアがまた頷く。
「一体、誰にだ?」
「それが、わからないのです…」
「え?」
アリシアの答えに、カイルは素っ頓狂な声を漏らす。
「わからない、とはつまり、どういうことだ?」
「王様が襲われたとわかったのは、王様が大きな声を上げたからでして。部屋に入った時、部屋にいたのは腹を刺されて気を失われた王様だけでした」
アリシアの説明に、カイルは首を傾げた。
「…あ、あの…」
カイルの服を掴んだままのクリスティーヌが上ずった声を発する。
「王様は、どうなされたのですか?」
無事なんですか?
そうクリスティーヌが問うた。