王に愛された女 番外編
金色の髪、緑の目、そして“クリスティーヌ”という名前。
間違いない。
この少女が、前国王と前王妃の娘だ。
「…あの、聞いてます?」
アリシアが黙っていると、少女が不安そうに口を開く。
「王様は、危篤で意識もまだ戻られていません」
アリシアは王子に告げ、それからクリスティーヌを見た。
「部外者は、引っ込んでいてください」
彼女はわかるだろうか。
この“部外者”の意味を―?
いや、わからないだろう。
なぜなら、彼女は自身の生い立ちを知らない筈なのだから。
だが、前国王と前王妃の行動力は、アリシアの予想を大きく上回っていた。
「それって、私の父と母が王宮を迫害された身だからですか?」
「!?」