王に愛された女 番外編




 恐怖を追い出すように頭を振った瞬間、頭を枝にぶつけた。バランスを崩し、体が傾く。

 カイルは幹にしっかりとしがみつき、枝の上で足を踏ん張った。

 辛うじて、その場に踏みとどまる。

 カイルは体勢を立て直し、額に浮かんだ汗を拭った。

 そして次の枝に上るためにコブに右手を乗せ、上へあがる。

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 十本目くらいだろうか。何本も枝を上っていると、樹を上る感覚が体に染みついてきたように思える。

 カイルは樹を上る作業が好きになってきていた。

 このくらい上ると、塀より高い位置で、カイルはそろそろ塀へ移動しようと幹に回した腕を軸にその場から180度、場所を移動する。

 枝がガサガサと音をたてた。

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