王に愛された女 番外編




――山の方に逃げたと考えたか?

――山、ですか?

――クリスティーヌの家の近くには山があるんだろう?なら、そこへ逃げたとも考えられないか?

 王子の提案で、ロッドは山を登っていた。

 しかも、王子を連れて、だ。

「はぁ…少し休もう」

「何言ってるんですか、王子様。ついてくると言ったのはあなたでしょう!?」

 ロッドが言うと、王子は地面にしゃがみ込む。

「俺はもう動けない」

「なら、そこで待っていてはいかがですか!?」

 苛々しながらロッドは怒鳴り、前へ歩き出した。

「待ってくれよ」

「待ちません!!あなたは、クリスティーヌさんがどうなってもいい、そう思ってるんですか!?」

 ロッドの言葉に、王子が目を見開く。

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