王に愛された女 番外編




「それは困る!!」

 王子は立ち上がり、ロッドの前を歩き始めた。

「…アイツの父さんも母さんも助かったんだ…。アイツだけ助からないなんてこと、あるもんか」

 王子が小さな声で呟く。

 ロッドは、たくましくなった彼の姿に、不覚にも笑みを漏らした。

 その時だ。

 地面を掘る音が聞こえてきた。

「なんだ、この音…?こんな夜更けに仕事をしている者がいるのか?」

 王子が、音のした方へ歩き出す。

 こんな夜更けに、こんな場所で、仕事などする人がいるわけない。

 嫌な予感に、背筋を冷たい汗が流れていく。

「………ないと、……が…なってしまう」

 微かだが、会話が聞こえてきた。

「……っと早く………が来たらまずい……ぎを隠せる…に」

 不意に、道が拓けた。

「何してるんだ!?」

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