王に愛された女 番外編
もっと一緒にいたかった。
同じ速さで時の流れを感じていたかった。
一緒に同じ道を歩きたかった。
カイルは涙を拭う。
「俺は、この世で一番不幸者なんだろうな」
テアンがフッとほほ笑む。
「そうですね」
カイルは、あっさり頷いたテアンを驚きの目で見つめた。
「あなたより不幸な人たちは、既に亡くなっていますからね」
カイルは立ち上がり、窓の外を見る。
「…結局、王妃様にはフィオーレ様の令嬢がなられるそうですね」
「あぁ。それでフィオーレの地位は絶対的な物になるのだろうな」
窓の外に、馬車が停まった。
そこからミィナは下りてくる。
「…やはり俺は、好きでもない女と結ばれ、子供を育てて死ぬ運命なんだな…」
いつだったかハナミズキを眺めながら思ったことをカイルは思い出した。
「…好きになっていけばいいじゃないですか」