王に愛された女 番外編




 これだから、女は嫌いなんだ。

 カイルは思い切って塀の上に飛ぶと、勢いに乗って彼女の前に下り立った。

「きゃ」

 彼女が一歩、後ずさりする。

「…誰が泥棒だって?」

 カイルは彼女の肩をしっかり掴んで、顔を寄せる。

 彼女の顔に、戸惑いの色が浮かんだ。

 彼女も、王宮内の女官と一緒だ。カイルはがっかりした。

 服だけを見て、カイルが王であると判断する。それが女人たちだった。

 カイルが王族の服を着ていなければ、カイルが王子だと見抜けないのである。

 まぁ、王宮の人間でないのならそれが普通なのかもしれないが。

「…その口、俺の口で塞いでやろうか」

 カイルは怯えている彼女にそう言った。

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