王に愛された女 番外編
「…そんな話、信じるわけがないでしょう?」
クリスティーヌの言葉に、少年の顔色が変わった。
嘘を見抜かれて戸惑っているというよりは、信じてもらえなくて驚いているようだ。
「な、何だと?俺の話が嘘だと?」
少年はおかしいな、と言いたげに腕を組む。
「信じるわけがありません」
「なんだと?今の話は全て真実だぞ!!」
クリスティーヌは呆れて首を竦めるしかできなかった。
「…じゃあ、聞きますけど。あなた一体何者ですか?」
少年が、彼の服装を見下ろす。クリスティーヌも彼の服装を眺めた。
貧乏人の村が集まる王国の南部、ガトヤの奴隷が着ていそうな薄い生地で泥が少し付着した服を着ている。
だが、服装の割に顔や髪は綺麗で、ちゃんと清潔に手入れされているようにも見えた。
「…服装は奴隷のようにボロボロだけど、髪は艶があるし傷んでない。顔にも泥はついてないように見えますが」