王に愛された女 番外編
クリスティーヌの指摘に、少年が息を詰まらせた。
「…お、オマエ、女のくせに頭がいいんだな」
この国では、女の身分で学問を身につけるものはほとんどいない。いたとしても、その者は男たちに見下され、たいていはやめるか、自ら命を絶ってしまう。
だからクリスティーヌは学問をの道に進んだ女が有名になった話を聞いたことがない。もっとも、クリスティーヌにとっての世界が狭いだけかもしれないが。
「…私、お父様に勉強を教えてもらってるから」
クリスティーヌは誇らしげに告げた。
「女のくせに?物好きな女もいるんだな。想像するだけで吐き気がするが、もし俺が女なら間違いなく遊んで暮らすだろうよ」
少年は吐く素振りを見せながらクリスティーヌの生き様を否定する。
「失礼ね。女ってそんな悪いものじゃないわよ。それに、勉強だって楽しいし」
クリスティーヌの答えに少年は肩を竦めた。
「これだから、女は嫌いなんだ」