王に愛された女 番外編
止めなければ、そのまま思い出に浸ってしまい、散歩ができなくなるからだ。
「…昔のことは、もう忘れなきゃだな」
イアルは言い聞かせるように呟いて、歩き出した。
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無意識のうちに、イアルは思いもよらぬ場所へ足を運んでいた。
先ほど思い出しかけた思い出が何等かの形で脳に作用したのかもしれない。
イアルは、小さなレンガ造りの家の前に立っていた。
その時、タイミングよくドアが開いて、家から少女が飛び出してきた。
「…あ」
その少女の姿に、イアルは声を無くす。
少女の金色の髪が冷たい風にゆられた。