王に愛された女 番外編
カイルは手元から顔を上げ、睨むように内関を見た。
内関のロッドが慌てて袖で顔を隠す。
カイルは舌打ちして、手元に顔を戻した。
「…あ、あの、王子様…」
「うっせ。少し黙ってろ」
カイルはロッドを叱咤し、羽ペンを走らせる。
「すみません…」
「あ゛ー…オマエは一生黙ってろ!オマエの声なんか聞きたくない!」
カイルの言葉に、デリケートなロッドは泣く真似をしながらカイルの部屋の出口まで歩いていく。
いつものやり取りだが、カイルの不機嫌さはいつもの比にもならなかった。
もう少し。
もう少し、父やロッドの来る時間が遅ければ。
そう考えるだけで不機嫌さが増していく。
頭の中から、あの金髪の少女が離れなかった。