王に愛された女 番外編
「…で、でも、心臓もおかしいんだ。さっき出会った女のことを考えると、ここが苦しくなってさ…」
カイルは自分の左胸に親指を突き立てた。
着ている王族の服に親指が食い込んだ。
ロッドに王宮へ連れ込まれた後、カイルは父に呼び出され、服のことと塀を越えようとしたこととで怒られ、外出禁止を言い渡された。
この間脱走しようとしてから時間が経っていなかったせいで、父は呆れ、この前の罰則は結局受けなかった。
その代り、王列に王子として参加できないという罰則を受けることになってしまった。
「…左胸が、ですか」
ロッドが呟く。
「これは、病気なのか?」
「いいえ、違います。それは…」
ロッドが言いかけた時だった。
バンッ
勢いよく部屋のドアが開いた。
「兄上、ご病気なのですか!?」