王に愛された女 番外編
「…その前に。王子様、その少女とまた会いたいと思いますか?」
ロッドの言葉にカイルは立ち上がった。
「いるのか!?」
少女に、もう一度会いたい。
カイルはそんな思いでロッドを見た。
「い、いえ…ただ、王子様の気持ちを確認したくて…」
その答えにカイルはがっかりして椅子に座った。
彼女がいないとわかってしまうと、ロッドの話を聞くのも疎く感じられる。
「…王子様は、彼女にまた会いたいのですね?」
「だから今、彼女の為に手紙を書いているんだ」
どこの誰かわからないけど、とカイルは付け足した。
「そうだったんですね」
ロッドがカイルの傍まで来て、手紙を覗き込む。
「…?途中から、何も書かれてないですが」
「いや、書いてある。これは中身をのぞかれないために蝋で書いたために見えないだけだ」
カイルはロッドを睨んだ。
「オマエみたいなヤツが覗き見しかねないからな」