王に愛された女 番外編




 そう言って、訪問者はクリスティーヌに手紙の入った封筒を差し出した。

 クリスティーヌはそれを受け取る。

「…思う、ってどういうことですか?」

「あぁ、依頼者があなたの名前を聞いていなくて…あなたに差し出していいのかさえわからないんです」

 クリスティーヌは封筒を開けようとした手を止めた。

「一つ確かめたいのですが、あなたは王宮で泥棒を捕まえましたか?依頼者は、それを言えばわかるとおっしゃっていましたけど」

 訪問者の言葉に、クリスティーヌはハッとした。

 泥棒、といえば銀色の髪のホストを知らない少年のことだと思ったからだ。

「知ってます!」

「じゃあ、あなたなんですね」

 訪問者はそう言って、クリスティーヌの手の中の封筒を指さす。

「どうぞ開けてください」

「あ、私、クリスティーヌって言います。依頼者さんに、よろしくお伝えください」

 訪問者が頷く。

「わかりました。伝えておきます」

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