王に愛された女 番外編




 本の開いているページに描かれている内容に目を奪われる。


  ここファンタジーエン王国では
  この国の頂点に立つ王、王妃、
  および王子のことを
  太陽と表すことがある。
  それは彼らの存在が
  この王国の行く先を決める
  希望の光だと考えられているからだ。


 クリスティーヌは

「そうだったんだ…!」と叫んだ。

 つまり。

 あの暗号、或いはなぞなぞの答えは“王・王妃・王子”のどれかである。

 サーッ

 クリスティーヌは自分の顔から血の気が失せていく音を聞いた。

「私……あぁ、どうしよう!」

 この王国の王子であるあの少年を、泥棒呼ばわりしてしまったのである。

 間違いなく、処刑だ。

「どうしよう、どうしよう…」

 クリスティーヌは部屋から庭へ飛び出した。

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