王に愛された女 番外編





「まぁ、あなたはまだ幼いし、お父様の仕事を見に行く必要はないかしらね」

 母はそう言って、王宮を見てから中庭の方を見た。

「…じゃあ…」

「えぇ、行ってきていいわよ」

 ミィナは嬉しくて飛び跳ねた。それから中庭の方へ駆けだした。

◆◇◆◇

 中庭に足を踏み入れた瞬間、ミィナはハッと息を呑んだ。

「凄い…」

 若手の重臣や役人たちがサッカーをしていた。

 貴族ばかりなのに、身のこなしは一流のプレイヤーのようだった。

 その中に、ひときわ目立つ男がいることにミィナは気付いた。

 貴族たちは蒼いユニフォームと赤いユニフォームに分かれているが、その男は金色のユニフォームを着ている。

 銀色の髪が風になびいた。

 目立つその男の年は十三、四歳ぐらいで、動きは周りよりも少し鈍い。

 彼の前に立つ赤いユニフォームの男が、不意に彼の前から立ち退いた。

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