王に愛された女 番外編




 その行為はスポーツではあってはならない行為だった。

「え…」

 ミィナは声を漏らした。

 目立つ少年が、足を止める。

 つられるように他のプレイヤーも足を止めた。

「どうしましたか?」

 青いユニフォームの男が金色のユニフォームの彼に問う。

「オマエはこれでもプレイヤーか」

 少年が、立ち退いた男に言った。

 彼は顔を思い切りしかめる。

「…な、何でしょうか」

 立ち退いた男が震える声で言った。

「俺は王子で、オマエより身分は高い。だが、スポーツの中ではみな平等だ。身分が違うだろうがなんだろうが、道を開けたりするのはやめろ。正々堂々と勝負しろ」

 少年が男に指を向けて怒鳴る。

 男は頭を下げて、

「すみません!」と甲高い声を発した。

 ミィナは、少年に目を奪われたまま、何も言えなくなった。

 今の彼の行動が、あまりにかっこよかったのである。

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