王に愛された女 番外編





 テアンは書物を持ち、王子が学問を習得するための学習堂へ向かった。

 そこには既に王子がいて、テアンを待ちわびていたのだった。

「遅いぞテアン」

 言われてテアンは腕にはめた時計を覗き込む。

「まだ、約束の時間の三分前ですが」

 テアンの言葉に、王子は顔を赤くして

「お、俺はずっと待っていたんだぞ!」

 と叫んだ。

 このような者が王位継承者で、優秀だと評判だったイアル王子が王宮から迫害されたんどあと思うと、テアンは不思議でならなかった。

 だからこそ。

 あのクイズを出したのだともいえる。

 隣人の助言もありはしたが、テアンとしても、王子が王位継承者としてふさわしいのか否か、この目とこの耳で確かめたかったのである。

「…そうでしうたか。そんなに早くいらしていたなんて、つまり、クイズの答えを導き出せたということですね?」

 テアンは問うた。

 王子がコックンと頷く。テアンは少し座る姿勢を直し、王子の瞳をまっすぐ見つめた。

「では、答えをどうぞ?」

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