王に愛された女 番外編




 王子が一層目を見開く。

 テアンはその反応に「あぁ、やはりな…」と思うだけだった。

「じゃ、じゃあ、答えは何なんだ…?」

 王子が身を乗り出す。

 テアンはあくまで冷静な態度をとり続けた。

「答えは、瞬きでございます」

 テアンがゆっくり答えを述べると、王子が「…っあ」と声を漏らす。

「な、なんだと…!?瞬き!?ふざけるな!」

 戸惑ったような顔から一変し、王子は怒鳴る。

「ふざけてなどいません。王子様は今、この答えを聞いてふざけていると思ったでしょうが、僕はふざけていないんです」

 テアンはハッキリと告げ、王子を見つめた。

「今の王子様には、柔軟な発想というのが欠けていると僕は思います。この答えも、おそらく書物を開いて必死に探したのでしょうが、僕はそれは間違っていると思います」

 王子が拳を握りしめるのが見える。

 テアンはそれでも続けた。殴られるのは百も承知だった。

< 80 / 210 >

この作品をシェア

pagetop