王に愛された女 番外編
「確かに俺は、書物からこの答えを導き出した…」
王子が小さな声で呟いた。
「王になるためには、書物に頼るだけではいけない。僕はそう思います。世の中には、書物だけでは対応できない出来事がたくさんあります。全てに対応するには、柔軟な発想が必要です」
テアンは書物に一瞬目を落とし、また王子を見る。
王子は怒りを必死で抑えているのか、体が震えていた。
「…このクイズで、王子様は答えることができませんでした。つまり、僕をクビにすることはできないわけですが…殴りたいなら、どうぞ殴ってください」
テアンが言うと、王子がすっくと立ち上がった。
殴られるのを覚悟でテアンは目を閉じる。
だが、いくら待っても痛みは襲ってこなかった。
「…ロッド、先生(セオ)を王宮の茶宮にお連れしろ」
茶宮は、王宮内にある、王族のみが立ち入ることのできる空間だ。
噂では、お菓子を食べたりしながら休憩をするのに使われる部屋だと聞いたことはある。テアンはそこに連れて行ってもらえるのだと思って嬉しくなった。