王に愛された女 番外編




 髪はオレンジ色で、腰まで伸ばしている。

 小顔で、テアンからすれば可愛らしい印象の少女だった。

「お兄様、この方がテアン先生ね!?」

 頬を上気させた彼女が王子に問う。

「あ、あぁ…そうだが」

 王子が戸惑ったような声で返事をした。

「噂通りのイケメンね!!」

 その言葉に、テアンはクビを捻った。

「え?」

「あなたね、王宮内の女官の間で、イケメンだって人気なのよ!」

 彼女がそこまで言ったところで

「あー、気にしなくていいぞテアン先生。コイツ、バカだしすぐに噂に振り回される単純なヤツだから」

 おまけにわがままだしな、と王子が言う。

 王女がさっきよりも顔を真っ赤にした。微かに目に涙を浮かべている。

「お兄様、酷い!」

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