王に愛された女 番外編





 王女は王子を睨みつけるようにして見つめた。

「この人の目の前で私の悪口言うなんて!!」

 それから彼女は、またテアンを見る。

「お兄様の言うことは全て嘘だから!だからお願い、私のことを冷たい目で見ないで!」

 彼女の右目から一筋の涙がこぼれた。

「わ、わかりました…」

 テアンはそれだけ言うのがやっとだった。

「ねぇ、私、可愛い?」

 テアンの返事を聞いた王女が、頬を押さえながら聞いてくる。

「え、えぇ…可愛いと思います…」

 テアンはゆっくりと告げた。

「お兄様、私、可愛いって!!」

 顔をほころばせ、王女は王子を見て言うと、そそくさと茶宮を飛び出して行った。

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