王に愛された女 番外編
クリスティーヌは、テアンと、彼の手の中のチョコレートを交互に見比べた。
「これ、くれるの?」
テアンが頷く。
クリスティーヌは顔がつい緩んでしまうのを抑えきれなかった。
「ホントに?…ホントにいいの?」
笑顔になりながら聞くと、
「あぁ、王子様がくださった」
テアンが答えた。
瞬間、クリスティーヌは凍りつきそうになった。
チョコをもらえるのは嬉しいが、それがあの王子からである。
何か後で仕打ちがありそうだとクリスティーヌは思った。
そう思ったのは、この間クリスティーヌが王子だと知らずに無礼な発言ばかりしてしまったからである。
「…ん?嬉しくないのか?」
テアンに聞かれ、クリスティーヌは慌てて首を振った。
「ううん!そんなことないよ!」