王に愛された女 番外編
「でもクリスティーヌさん、買い物っていったい何を買うんですか?」
ソルティアが左手で財布の入ったかばんをしっかり持って聞いてくる。
「え?あぁ、ちょっと…ね」
「ちょっと、ってなんですか?」
もう成人しているのに好奇心旺盛のソルティアが薄い青色の瞳を輝かせる。
「な、内緒!!」
「私のお金で買うんですから、教えてくださいよ」
彼女の言うことも一理あるとクリスティーヌは思った。
仕方なく、腹をくくって口を開く。
「実はね、私…この前、王子様に無礼な態度をとってしまって」
クリスティーヌが言うと、ソルティアが「えぇ!?」と素っ頓狂な声を上げた。
「王子様だってわからなくて…塀を越えようとしてたから、泥棒かと思ったの…」
「え!?で、でも、王族の服を着てたりしなかったんですか!?」
クリスティーヌは首を振った。
「あまりにも汚らしい服装で、王子様だってわからなかったの」
「…私も、分からなかったかも…。王子様なんて、顔じゃなくて服装で見分けちゃいますから」
未だに王様の顔もわかりませんしね、と彼女は言って悪戯っ子のように笑った。