最終面接


『ええ…もう…10年程前に。』

「そうでしたか…。」

『東條さん…あなた…
レナの元同僚でしょ?

…誰も…あなたに
知らせなかったの?』


ーーー知っていたら……



焼香くらい駆けつけたよ。


『まあ…
今さら、何をいってもーーー
レナは、戻ってこないし…


とにかく無事に、あなたの手元に
預かり物を返せてよかった。』

俺との関係が、関係だったから
生きて帰れる可能性がないまま、
これらを置いたままじゃあ
うちを空けられないからって
彼女が預かってたそうだ。

『レナからねーーー

自分が死んだら、
会社に送ってほしいと
言われてたのだけど…。

せめて指輪とピアスくらい
傍に置いてほしいって…。』


…でも…当時の彼女は…
俺の話を聞かされていたから
返したところで
多分、家族にバレないように
処分されるのがオチだと
返しあぐねていたらしい。

「レナは…そんなに…
病状が悪かったんですか?」


あのメールがーーー

レナの書いたものなら……

そんなにーーー


俺を思ってくれていたなら
会いに来たんじゃないかと……

アイツの性格ならーーー


アクセサリーを握りしめて問えば
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