最終面接



…その後、休日を利用して
履歴書の住所と、人事部から
聞き出した、レナの住所を
訪ねてみたけど…



藤村瑞樹なる人物に到達は
おろか、レナの実家は更地と
なって久しく



「東條専務…実は…」



人事部に、大学へ藤村瑞樹の
照会をかけさせれば…



「大学からの回答が参りまして…
“その様な人物は、在籍していないと”

…どうなさいますか?」


等と問われ戸惑うばかりだ。



「…どうもしなくていいさ。」


徐に、デスクの引き出しを開け、
しまい込んだままの遺品を見る。


「でも…これって、犯罪じゃ…」

あの日の後、二度と電源が
立ち上がらなくなった携帯電話と
当時、自分としては、高額だった
ジュエリーの入ったショップバッグ


「しかし、実害はゼロだよ?
自腹で面接に来て、面接を
辞退した。ただ、それだけだ。



…もう、

いいじゃないか…。」




そう呟いたのはーーーー

他でもない

俺自身への言葉なんだと思う。




今更、抱いた喪失感と


できれば、伝えたかった想い。





“…今でも、本気で

愛している。”



そういったら

“いまさら…滑稽だって”

“いまさら…信じられないって”



……そう、返してくれさえ
しないのだ……



もう…随分前に…

そんな機会、失くしていた。




残ったのは…


随分前に忘れていた

そして、こんな風に
思い出してしまった

“遣り切れない想いだけ…”



「もう、いいじゃないか。」





溢れそうになる涙を
隠す様に、こめかみを抑え
再度、小さく呟いた。



もう、何をしたってーーー


レナには、会えないのだから。







































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