誠─紅き華は罪人に祝福を与う─
引き寄せられた因縁
第一話─罪と罰─
奏達があづさを家まで送り届けている時、元老院内部は騒然としていた。
「んなの、信じられるかよっ!」
「落ち着けっ!…信じられねぇのは皆同じなんだよ」
「どうして……あいつらが」
「雷焔君が知ったらどう思うか」
「………………ちくしょう!俺達はあいつの…あの顔をまた見なきゃなんねぇのかよ!!」
原田が近くの柱を拳でガンっと殴り付けた。
苦悶の表情を浮かべ、今にも暴れだしそうにしている。
他の者も表に出す出さないはあれど、想いは皆一緒だった。
「今回は隠せねぇ。別の隠し事もあることだしな」
「あぁ」
「誰が奏ちゃんに教えるんですか?」
沖田が珍しく笑みを引っ込めて真顔で言う言葉に、この事態の深刻性をまざまざと痛感させられてしまう。
誰も名乗りを上げようとはしなかった。
否、上げられなかった。
当然だ。
奏は一度失っているのだから。
あの時の悲しみ、怒り、嘆きを見ると………いつもならば引き受ける山南なども自分がと言い出せずにいた。
「ただいまー」
門の方から幾分か疲れた声が聞こえてきた。
奏だ。
皆は無意識のうちに息を詰めていた。
庭で遊んでいる澪と響と話し込んでいるらしく、まだ屋敷の中に入ってくる様子はない。