誠─紅き華は罪人に祝福を与う─
近藤が中に声をかけようと息を吸った時、その中から扉が開かれた。
「ようこそおいで下さいました。主はすでにお待ちです」
「どうぞ、中へお入り下さい」
現れたのはお仕着せの黒服を着た、いかにも貴婦人が好みそうな双子の美少年だ。
皆は双子に先導されるのに従い、貴婦人が待つという部屋へと向かった。
「いなくなった僕というのは?」
「あなたもご存知のはずです」
「ファントムと言えばお分かりかと」
「逃げただけじゃ?」
双子は似たような笑みを浮かべるだけでそれに答えはしなかった。
「そのファントムってどんな奴なんだよ」
「土方さんと競えるほどのナルシスト」
「俺は違う!!」
そこは必ず否定しておかなければ。
不名誉極まりない。
間髪入れずに土方は大声をあげた。
「俺、モテて仕方ないんだけどー的なことを揶揄する手紙を送っといて?」
「なっ!!……ふん」
「知らないと思ったんですか?こんな面白いネタ」
「…………………だあっ!!」
土方は頭をかきむしるしかこの苛立ちをおさめる方法は思い当たらなかった。
皆はそれに隠れて肩を震わせながら後に続いた。