誠─紅き華は罪人に祝福を与う─
「そう警戒せずともよい。今回は無理難題は言わぬ」
「今回は、なんだな。………むぐっ」
つい口を滑らせた藤堂の口を鼻ごと隣にいた永倉が覆った。
顔が赤くなってきたが大丈夫だろうか。
「ファントムですが……」
「隣の続き部屋にいるのは?」
「先程の双子ではないようだが」
「……………話半分に聞いていたが、人間でこれまでとは。もうよいぞ?」
貴婦人が開いていた扇をパチンと閉じると、それを合図にしたように隣の続き部屋の扉が開いた。
「なかなかやるみたいですね?まぁ見目は…私の方がいいみたいですが」
「烝、クナイ貸して。それかアイツ目掛けて殺って」
「待て!この顔に、身体に傷がついたらどうしてくれるんだ!!」
「そのままミイラにしてやるよ」
近藤達は苦笑いだ。
先程ちらっとは聞いていたが、ここまでホンモノとは。
確かに例にもれず人外の美を持ってはいるが。
並び称された土方は一人ムスッとしていた。
「奏、こやつも元老院に貸し出す」
「いりません」
「何っ!?私が人間に劣るとでも?」
喚いているが無視だ。
金髪碧眼の厄介な人物はレオン一人で十分。
全員一致の意見だ。