誠─紅き華は罪人に祝福を与う─
「奏、生け捕りがいいか?」
「いや、言葉を解さない。これじゃあレオン様もお手上げだから、襲われた事実だけを報告する」
「分かった」
「つまり、とどめを刺しても大丈夫ってことだよね?」
「刺してもらわなきゃ困るってことです。ここで温情を与えていたら、必ず次の獲物を探す」
唸り声をあげて襲いかかってきた最初の妖を一閃に切り伏せた。
ヒュンと刀を振り、地面に紅い華を咲かせた。
それを合図にしたかのように次々に妖が奏達を襲った。
「・・・・・っ」
「血が苦手か?」
あづさは奏が散らした紅をジッと見つめ、コクリと頷いた。
「あいつらが冷たいって思うか?」
今度はブンブンと首を左右に振った。
鷹は満足そうにフッと笑った。
「ならいい。あいつらはあんた達人間を守っている。だから、妖に手を下さなければいけない」
「なんで・・いきなり・・・」
「襲ってきたのかって?」
「それは私から説明しましょう。もうだいぶ片付いたみたいですからね」
山南が刀を懐紙で拭き、納めてから鷹達の元へとやってきた。
山南の言うとおり、もうほとんど残ってはいない。
山南一人抜けても問題はないだろう。