誠─紅き華は罪人に祝福を与う─
第五話-渡辺の血と過去と-
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「・・・・」
「え、えっと・・・お久しぶり、ですよね?」
「え、あ、はい!!」
響にしては珍しくあづさを凝視していた。
何かに気づいたのか、珠樹を見て、土方に視線を移した。
珠樹も気づいてはいるが、見て見ぬフリをしている。
響は一人、途方に暮れたように忙しなく瞳を揺らした。
「あの、私・・・・鈴さん呼んできます!」
「何で!?」
今ばかりは奏に応える時間も惜しいのか、そのまま広間を出て行ってしまった。
響に悪意はない、ないのだが・・・。
奏の片手が虚しく宙に浮かんでいる。
「・・・・・・フッ」
残る近藤達は奏の背後から黒いオーラが見えて仕方がない。
響大好きの奏。
怨念に近いソレが向けられるのは言わずもがな、鈴一人である。
今回は、そして今回も、とばっちりとしか言いようのない鈴に、皆の同情が寄せられた。