誠─紅き華は罪人に祝福を与う─
「奏、ここは?」
「・・・・妖が住む場所、異界」
「い、かい?」
「そう。詳しいことは知らない方がいい。他の妖にも狙われることになってしまうから」
「わ、分かった」
まだ僅かに残る戸惑いを端に追いやり、あづさは頷いた。
人間こういう時は順応しなければやっていけない。
その点、あづさの順応性は抜群だ。
「それで?この子の処置はどうするの?」
「元老院預かりですよ。襲ってきた妖、あれは猩々といって執念深い。狙った獲物は逃がさない厄介な奴らですから」
「ふぅん」
沖田は聞いたものの大した関心はなかったのか、軽く相槌を返しただけだった。
奏の言うとおり、帰ってすぐに正式にあづさを元老院預かりとすることを決定する触れが出されていた。
それを知らせに来た鷹と時をほぼ同じくして鈴を伴った響が帰ってきた。