誠─紅き華は罪人に祝福を与う─
「よぉ。・・・ん?・・・・・・へぇ。これはまた」
「どうですか?」
「だな。出来すぎな感もしねぇこともないが」
「ですよね!?」
「この間は気付かなかったなんて不覚だぜ。こんな面白いネタ」
二人だけお互いに納得したようで、完全に世界が出来上がっている。
・・・・・面白くない。
全くちっともこれっぽっちも!面白くない!
「どうしたんだ?」
「二人だけで何を分かりあってんだよ」
「気になりますね」
しかし、二人は顔を見合わせ、クスリと笑い、黙秘権を行使した。
奏が実力行使を行おうとした時
「奏!」
勢いよく開けられた襖の向こうには息を荒げた都槻が立っていた。
ハァハァと呼吸を整えるのを見かねた響が茶を渡そうとすると、手の平で押し戻した。
「まずいわ!とうとう御柱が出た!」
「・・・・・・」
奏はすっと目を細め、刀を握り立ち上がった。
鷹も息をのみ、唇を噛みしめた。
その様子を見て、近藤達もただ事ではないと知り、説明を求めて視線を彷徨わせた。