誠─紅き華は罪人に祝福を与う─
「・・・ごめん」
「ごめんね?」
二人の謝罪にレオンは溜息をついて頷いた。
他の皆はその様子をただ黙って見ていた。
「・・・・・・ただ今戻りました」
「お帰り。さ、早く」
「はい」
奏の上半身を少しだけ起こし、薬を口に水と一緒に流し込む。
しばらくするとようやく脂汗はひいた。
「これで大丈夫。後は意識が戻るのを待つだけです」
「ありがとうございました!」
深々と頭を下げる響に、フェルナンドは仄かに微笑んで見せた。
「・・・・・・レオンさん」
「なに?」
「お願いがあるんだ」
「僕も。たぶん同じことだと思うけど」
「・・・・・そう。場所を変えよう」
「我も行った方が良さそうだな」
沖田と珠樹、レオンに千早が連れだって部屋を後にした。
「・・・なんだかよ」
「あぁーっ!!重っ苦しいぜ!!」
「新八っつあん、それはうるさ過ぎ」
「なに言ってんだよ。奏も良くなるってんだから、こんな雰囲気はおかしいだろ」
「・・だな」
「・・・にしても、新八。あんたは奏が寝ているということを忘れていないか?」
「・・・・・・奏は幸せ者だね」
「はい」
「そうだね」
新選組隊士達の喧騒を眺めていたフェルナンドがそう呟き、聞いていた響と鈴が応えた。
結局、その喧騒はいつものごとく土方の一喝によって収められたのは言うまでもない。