誠─紅き華は罪人に祝福を与う─
物語の魔女さながらに隣で黒い笑みを浮かべている奏が怖い。
あづさはほんの少しだけ椅子を避けた。
「ヴァンパイアは人間の血を食事にしている。そうしないと生きられないからだ。奏達第六課が人口血液を作ってはいるが、生の血のようにはいかない」
「君達も家畜を殺して食べているだろう?それと同じなんだよ。ヴァンパイアが人間の生き血を啜るというのは」
「それは……そう、ですね」
生きるために食事をする。
それは何らおかしいことではなく、むしろ当然のことだ。
「彼の一族は察しの通り、ヴァンパイアなんだけど、少し前に人間に滅ぼされたんだ」
「……っ!どうして!?」
あづさは言った後で自分の発言の愚かさに気付いた。
人間が当たり前に考えそうなことは、簡単に思いつくことができた。
現に自分もさっき口にしたではないか。