誠─紅き華は罪人に祝福を与う─




「ユークの両親は優しすぎた。それが結果的に命を落とすきっかけになったんだ」


「そんな……」


「他にも人間が原因で滅びた種族は数多くあるよ。種族としてギリギリ保てる程度ってくらいまでのも。人間の方が恐ろしいと思うのは、決して僕だけじゃないと思うよ?」




レオンに限って恐ろしいというのは嘘だろう。


それでも、あづさは急に自分がこの場にいるのが場違いな気がしてきた。


たとえ自分から来たわけではないとしてでも、だ。




「カミーユ…様、レオン様。あまりあづさを虐めないでいただけませんか?生まれは本人には仕方のないことです」


「まぁ、ね?」


「それはそうだ」


「では、私達はこれで失礼します。あづさ、行こう」


「あ、うん」




奏に腕をとられ、あづさは椅子から立ち上がり、レオン達にペコリと一礼した後、まだ囲まれている土方達の元へ向かった。



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