誠─紅き華は罪人に祝福を与う─



「……やはり弱いね。あの程度の言葉で心を揺らすなんて」


「当たり前さ。人間だからなぁ。私としては彼らくらいの規格外の人間達が増えるのを心待ちにしているんだが」


「君の期待はともかく…。彼女にはもっと強く自分を持ってもらわないとね」




いちいち相手に言われた言葉で惑わされるようなら困る。


相手が人間ならばまだいい。


しかし、あづさの場合は違う。


言葉巧みに近づき、精神を苛む妖に狙われれば……一溜まりもないだろう。


とりあえず、まず最初にすべきは……。




「コリン、お茶をいれてくれるかな?」


「……分かりました」




あくまでも自分流は崩さないのが元老院第五課長にして三大魔王が一人、レオン様なのである。


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