誠─紅き華は罪人に祝福を与う─
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「どうかしたんですか?」
「響さん」
「どうぞ。平助君が巡察帰りに買ってきてくれたんです」
あづさが縁側で庭を見ていると、響が盆に茶を乗せて持ってきて、隣に腰を下ろした。
差し出された茶菓子を見ると、それはよく見知ったものだった。
「これ、近所の和菓子屋さんの……」
「この前、レオンさんに連れて行かれて、帰ってきてから元気がなかったので。平助君に頼んで馴染みがあるものを、と。お嫌いでしたか?」
「い、いえっ!!大好物です!」
「ふふ、そうですか。良かった」
心配させて申し訳ないのと、そこまで気落ちしていたのかという恥ずかしさでない交ぜになった気持ちを隠すかのようにあづさは顔を下げた。
「あの、こんな何の役にも立たない私ですけど…悩みくらいなら聞いてあげられます!」
両方の手で握り拳を作り、ずいっと身体を寄せてくる響の顔は固い。
一瞬思わずポカンとしてしまった。
「ですから、気兼ねなく話してください!」
「え、でも……」
決して目の前の少女が心許ないというわけではない。
むしろ親身になって聞こうとしてくれるのは正直とてもありがたい。
でも、悩みが悩みだった。
なにせ、響も人外なのだから。