誠─紅き華は罪人に祝福を与う─
「そんなことねぇよ」
「あいつらだって、お前が人間の代表なんかじゃねぇことは分かってる」
「俺達だって、澪だって受け入れられてるぜ?」
「澪なんか三大魔王お気に入りの姫だからな」
「あぁ、違ぇねぇ!!」
「お待たせしました」
「おぅ、ありがとうな」
「すまない」
原田は響に席をあけてやり、入れたての茶を美味そうに飲み干した。
「あづささん、明日、もう一度行きましょう?ユーク君に会いに。大丈夫。私もついて行きますから」
「でも……」
「俺も行こう」
「しゃあねぇなぁ!いっちょ付き合ってやるよ」
「お前だけで行くとまたやりこめられそうだからな」
「同じ人間、ですしね?」
山南の微笑みにいくらか安堵したのか、あづさの顔にようやく笑みが戻ってきた。
「……よろしくお願いいたします」
頭を深く下げるあづさに、皆は笑顔で頷いた。
それを奏は柱の影に隠れて聞いており、フッと満足そうに笑い、その場を離れた。
決戦は明日。
あづさにとって正念場になるのは間違いなかった。