先生の復讐

期末テスト当日はいつの間にかやってきた。

朝のホームルームで、山本は、テストの注意事項に加えた。

「一つ言い忘れていました。先生が、今回のテストでみなさんに出したハンディを

 外部に知らせた場合、そのものも罰します。いいですね?」

1時限目 2時限目・・。生徒たちは、死ぬ気で頑張った。何しろ、バツはどういうものか

 わからなかったが、山本の言う、「若葉先生」「バツ」という単語にとても敏感にな

 っていたからだ。


ーーそして迎えた結果発表。


 生徒たちは異常なほど顔がひきつっていた。そんな重い空気の中を、

山本は、ニコニコしながら入ってきた。


「では、早速いきましょうか。あ、そうそう、さっき質問があったけど、このゲームは

 このクラスだけだから。」


どれほど恨むことだろう。もし、自分がほかのクラスだったら、こんな思いはしなかったの

に。

「発表します。ちなみに、出席番号1~39番の生徒は、800点以上でした。だけど・・

 出席番号40番の生徒は、残念ながら790点でした。

 誰でしたっけ、えーっと・・。」


一斉にみんなが、ある生徒のほうを振り向いた。


坂口 麻由美


クラスで一番成績の悪い者だった。


「麻由美・・・。」


川村が、つぶやく。

「坂口さんでしたっけ?仕方ないわね。バツを与えます。」


そうして、麻由美は、山本と一緒に視聴覚室に消えたのである。
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