クリム童話
「赤ずきん?早く、この頭巾をかぶりなさい」
おやおや?
なにかお母さんともめている赤ずきん。
「嫌だって何回言わせれば気が済むんだ!年頃の息子に女装みたいなことさせて…!」
逃げ回る赤ずきんを必死に追いかける母は、悪気もなく、笑みを見せた。
「あら~、仕方ないじゃない。女の子に生まれてくるはずなのに、お父さんとの***(ピー)の日がずれたせいで、男の子が産まれちゃったもの」
母の話に、顔を真っ赤にさせて、耳を塞ぐ赤ずきん。
「だぁー!子供の前でそんな生々しい話するなー!」
「可愛い~!もう、こんな話で赤面しちゃうんだから、お父さんに似て初(うぶ)なんだからぁ。この子は♪」
「とにかく、俺はそんな女みたいな頭巾、かぶらないからな!」
「何言うの、この子は。この赤頭巾かぶらなきゃ、赤ずきんじゃないじゃない」
「俺にはちゃんと、赤(せき)って名前があるだろ!」