守ってくれますか?
アンリ様は、本当に、うっとりするぐらい綺麗だった。

赤いドレスに身をつつんでいる。

ドレスには装飾がなく、裾がひらひらと優雅にはためいている。
足元まである、ロングドレスは、アンリ様の美しい体の線をハッキリとみせていた。

胸元も、大きく開いている。


アンリ様は、胸の下までの黒髪に、灰色の瞳だった。
黒髪は、少しウエーブがかかっていた。

白い肌に、映える紅い紅い唇・・・・


一瞬、紅い唇が、血に見えた。

あまりに、鮮やかで。

たぶん、口紅をつけているのだと思う。


アンリ様を観察していると、隣のメイドさんに腕を引っ張られた。

「ほら、頭下げて。早く!」

小声でそう囁かれた。


私はハッとして、すぐに頭を下げた。

隣のメイドさんに、小声で「ありがとうございます」と返した。


そして、そのまま2人がここを通過するのを待った。


< 132 / 598 >

この作品をシェア

pagetop