守ってくれますか?
「姉さん!」
「お姉ちゃん!」
「ヒカリ姉ちゃん!」
ユウ、ルリ、イサムが私を呼んだ。

私は笑いながら、3人の方へ駆けた。
「いったよ!10兆!!」

私がそう言うと、3人ともにっこりと笑った。

・・・この笑顔が、好きなんだ。私。

だけど、3人はすぐに笑顔を消して、ある1点を真っ直ぐに見つめた。
その視線は、私をとおりこして、
私の後ろの『何か』に向けられている。

私は振り返った。

そこには、私を10兆で買った人がいた。


ああ、そうか。

私は、行かなくてはいけないんだ・・・・・。

愛しい、弟、妹から、別れないとだめなんだ・・・・・。


私は、私を買った人を真っ直ぐに見つめてお願いした。

「お別れを言う時間を、ください。」


「・・・・・いいだろう。」

くぐもった声が聞こえた。

彼の顔は、深くかぶったフードと、高い襟のせいで、全くと言っていいほど、見えない。


彼は今、どんな表情をしているんだろう・・・

ふと、そんなことを思いながら、私は3人の方へ向き直った。







いよいよ、別れのときだ。
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