守ってくれますか?
「でも、手首が少し・・・」

手首を見て、途中で口をつぐんだ。


ヤバイ。ホントにヤバイ。

両方の手首が揃いも揃って、グロテスクな紫色に変色している。

こんな手首をナオ様に見せて、不快にさせてはいけない!


私はささっと手首を自分の背中に隠す。

「なんでもないです!すみません、気のせいでした~☆」

はははーと、私は笑う。


だけどやっぱり、ナオ様は鋭い。

怪訝な顔をしている。


「手首がなんだ?ヒカリ。」

低い声。
わあ、怖いー・・・

「なんでもないですー」

「なんでもないなら、なぜ隠す?」

「ちょっと汚れてまして・・・」

「見せろ。」

「見せるものでは・・・・・」


私の言葉を最後まで聞かず、ナオ様は強引に私の腕を引っ張り、手首を見た。


見たとたん、開かれる両目。
そして、眉間には深いしわ。



あああ・・・

不快にさせてしまった・・・・・





< 156 / 598 >

この作品をシェア

pagetop