守ってくれますか?
《イケニエってなに?》

無知な幼い私は、あっさりと聞いた。


「殺すということだ。」

レインも、あっさりと答える。
何の感情も含まない、非情な声で。



《・・・やだよ。ヒカルがころされるのは、やだよっ!!なんでっ・・・なんで、そんなことしようとするの!?》


幼い私は、ぼろぼろとすでに泣きながら必死に叫ぶ。



けれど、幼い私の必死の叫びにも、レインは不思議そうに首を傾げただけだった。

レインは、理解できないものを見るように、幼い私を見た。



「ヒカリ、お前は生きられるのだぞ?なぜ、泣くのだ?」


《“なぜ”って・・・そんなの、あたりまえだよっ!!ヒカルは、ヒカリのふたごなんでしょ!?いなくなったら、やだよぉ!!!》



レインは、じっと幼い私を見た。





「昨晩、生まれてきたばかりなのに、もう大切な者ができたのか?その者と会ったのは、昨晩が初めてなのに?」




《ちがうよ。ヒカルとヒカリは、うまれるまえから、ずーっといっしょにいたの。》






そう、レイン。私とヒカルはね、生まれる前からの付き合いなの。


お母さんのお腹の中で、生まれる時を、心待ちにしてたんだよ――。




だから、いなくなったら、悲しいんだよ・・・





< 315 / 598 >

この作品をシェア

pagetop