守ってくれますか?
「ゼロだよね?あったことあるよね?」


「ええ、そうです。私はゼロで、あなたと会ったことがあります。
ですが・・・なぜ、レイン様ではなく私を覚えていたのですか?」


ゼロは、どうやらさっきの会話も聞いていたらしい。



・・・確かに。

なんで、レインではなく、ゼロだったんだろう?


でも・・・
私自身も、レインよりもゼロのことのほうが、鮮明に思い出せる。




「だって、おねえちゃん、わらわないでしょ?」


「?」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ・・・・・。

わかった。



私がレインよりもゼロのことのほうを鮮明に思い出せる理由。




「おねえちゃん、ロボットみたいなんだもん。にんげんっぽくない。
おねえちゃんはきっと、なにがあっても、わらったりしないんでしょ?」



レインは笑った。

ゼロは笑わなかった。


ゼロは、レインが笑った時・・・無表情だったんだ。

私は“皆”驚いたと思っていたけど、違ったんだ。

ゼロのことが見えていなかっただけ。
暗かったしね。



ゼロは・・・・・・

本当に、完璧な無表情だった。


だから、幼い私は覚えていたし、私も鮮明に思い出せるんだ。




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